この世に光などあるものか  闇と光の間で (5)



これは,過去か,それとも現在なのか・・・


この世に光などあるものか.

もし光が本当にあるというならば,何故,私は闇に堕ちていかなければならなかったのか.

何故,光は私を見捨てたのか.

闇の孤独
闇の恐怖
闇の絶望

その中で,私は独りだった.

何故?

闇の中で,引きずり込まれるような深い漆黒の恐怖の闇の中で,
私はずっと独りだった.

何故?

私が何もかもに見捨てられたとき,私を包んだのは闇だけだった.
闇こそがすべてだ.

恐怖と絶望の闇の世界に,私はいた.

一条の光もない.

誰も助けてなどくれない.
誰も信用できない.

この世に光などあるものか.

あってたまるか!



目も眩むような激しい怒りが,眠りから覚める.



光を名乗るものは全部殺してやる.

光を名乗るヒーラーは全員まがい物だ.

この手で殺してやる!


・・・・・・・・・




ふいに,綜海さんの細い腕が私を包んだ.


心臓が,止まった.


柔らかな,あたたかな,限りなくやさしい波動・・・
ハートにやさしい波紋を描いて,広がってゆく・・・

何かが,解けてゆく・・・
もうずっと,何年も何十年も何百年も何千年も私の心の底にあった,硬く閉ざされたものが,涙とともに,
静かに解けてゆく・





遠い風景を・・・思い出す・・・・・
故郷にも似た,この感じ・・・





母は・・・何故,私を抱きしめてくれなかったのだろう・・・・

こんな風に,抱きしめてくれたなら・・・私は救われていた・・・



あの闇の中,私がほしかったのは,やさしい母の手,それだけだったのだ・・・・





                                           2008.4.20 ハル



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