ある物語   闇と光の間で (4)





私は星の神殿と呼ばれているところを目指していた.


“星の神殿”は,すべての神殿をまとめあげ,中心的な役割を果たしていた神殿群の総称で,
いくつかの神殿が,波紋を描くように点在している地域のことを指す.
それは,太陽系の各惑星の軌道を模していて,実際にエネルギーで各惑星に対応していると言われていた.
太陽系の一番外側にある惑星に対応する神殿が,一番外側の円上にあった.
何重もの円の軌道の中心には,太陽の神殿があった.
だが,そこに辿り着ける者は稀だと言われていた.


最も外側にある神殿には,比較的容易に辿り着いた.
砂漠の中にひとつ,浮いているように見える質素な石造りの神殿だ.

「すみません,旅をしているのですが,迷ってしまいました.
とても疲れてしまって・・・,泊めていただけないでしょうか?」

ちょっと困った顔をしてにっこり笑うと,女性神官も微笑んで,中に入れてくれた.


中は外見から想像したよりはるかに広い.
奥へと通され,私はそこでゆっくりと身体を休めた.

エネルギーを探る.
この神殿が本当に惑星と繋がっていることを確認した.


そしてその夜,私は神殿を破壊し,女性神官を殺した.

目的は,“光”の殲滅.

あっけなかった.
女性神官は,恐怖に引きつった顔をして死んだ.

さて,明日は次の星の神殿へ.

私の前に立ちふさがる者は,誰もいない.


そうして私は太陽の神殿を除く全てを破壊し,それに関わる全員を殺した.

その中には,私が今,心から愛し信頼する,親しいドルフィンのメンバーたちが含まれていた.





                                             2008.4.18 ハル



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