家族の肖像





GWなか日,家族を誘い,横浜中華街でおいしい中華ランチコースを堪能した.

私が当日早朝に家族全員に電話をかけて,暇そうな家族を無理矢理引っ張り出した.
この日しか,私は空いていなかったのだ.

家族は今はバラバラに暮らしている.
父と母は別居中だ.

埼玉の山奥から,町田の奥から,現地横浜から,私は品川から
それぞれ集合したわけだが,何分,当日突然のことなので,
ブーイングも出て,私は苦笑した.

まあ,そりゃそうか(笑)

久し振りに家族が揃った.
いつ振りだろうか?

中華料理を味わい,山下公園まで散歩をし,日が暮れ切る前に,
解散した.


久し振りの家族・・・
私は興味深かった.


愛は有限でしかない.

だから,競争して奪い合わなくてはならない.

愛がほしい,ここには無い,愛がほしい・・・


そういった家族ゲームに,私以外の家族は興じていた.


私も以前はこのゲームにどっぷりはまり込んで,苦しんだ.


今は私自身のセンタリングがぶれることもなく,
自分が育ってきた家族の肖像を,私は静かに眺めた.


妹は”私は両親から愛されていなかった”といったステージに立ち,
他者に同意を求めていた.

母も,過去の父の行動について,手厳しく言及し,
父は,何気なくそれをかわしていた.

・・・すべて,過去の話だ.

この家族には,まだ希望にあふれた未来の話は,出ない.


それぞれのスタンスで,それぞれがまた傷つけあう・・・

人を傷つける鋭い言葉の数々,そしてそれらによって傷ついたそれぞれのエネルギー,
それを私は冷静に,見ていた.


以前の私だったら,おいしいはずの中華は激マズになっていたろう.

しかし,今は違う.

それぞれがいつか幻想を超えて,それぞれのより深い愛を生きる.

大丈夫.

それを私は知っている.


私のところに来た家族それぞれのエネルギーには,
光になって,もといたところへと,丁重に帰ってもらった.


こんなプロセス真っ只中の家族,それでも,
”会えてよかった”,”ありがとう”,と
皆,口々に,それぞれ人ごみをかき分け,帰るべき場所へと戻って行った.



何気なく,日々口にする言葉.

そのどれもが,どうか愛あふれる言葉でありますように.

その光の言葉の中で,

あの古い家族の肖像を抜け出した私は

光の人間関係,家族関係を紡ぎなおしてゆくのだ.


あらためて,そう思った.





                                             2009.5.11 ハル




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