インナーチャイルドといちごのショートケーキ





昨日,インナーチャイルドのワークに行ってきた.

久々に会うドルフィンの面々に,私のハートもあたたかく開いた.

ワーク自体はとてもパワフルだった.

忙しくて,いつも他のことで心がいっぱいな母に,
一生懸命,たくさんたくさん話しかける.
しかし,相手にされず,適当に流され,いつしか,”どんなに話しても,無駄なのだ,どうせ通じない”という思い込みを持った,
4歳の私がいた.

インナーチャイルドに関しては,今まで色々なワークに参加してきたが,今回は,ちょっと感慨深かった.

若い若い,父と母.
まだ20歳そこそこでの学生結婚で,あまりに幼い.
その彼女らが,私を育てていたんだ・・・

右も左も分からず,自分たちのことで手一杯な父と母・・・

何故私を生んだの?
育てられないなら,生まなきゃよかったのに.
その方が,私はよかった.

そう伝えると,ごめんなさい,本当に,ごめんなさい,と繰り返す若い,幼い両親.

彼女たちも,精一杯だったんだ・・・

諦めとも,両親への愛ともつかない気持ちで,ため息をつき,
私は自分のインナーチャイルドを抱き上げた.

本当に,時間は戻せないものなのだ・・・


4歳の私.
彼女とは,いちごのショートケーキを食べる約束をした.
いつも売り場で見て,食べたいなあと,ずっと思っていたらしい.
一度ほしいと言ったけれど,買ってもらえなかった・・・



今日は用事があったので,駅へ行くと,いつもと景色がまったく違っていることに驚いた.

手をつなぐお母さんと小さい男の子,
孫を抱くおじいちゃん,
連れ立っている老夫婦,

どこにも,愛の光があふれていた.
それを,はっきり,私は目撃した.

駅通路では,チェックのおそろいのスーツを着た,おしゃれな白いハットのおじさんたちのブラスバンドが,
大音響で,思い切り陽気な曲を演奏していた.

天気のいい,晴れやかな休日,

すれ違う誰にも,愛の光が見える.

ノリのいいブラスバンドのリズムにも,演奏者の世界を愛する気持ちが光っている.

本当は,世界はこんなにも愛に満ちて,こんなにも輝いていたんだ・・・

私は一体,いつからこんなに涙もろくなったのだろう?


帰り道,典型的な三角のいちごのショートケーキを買った.
インナーチャイルドは大喜びで,跳ね回っていた.

家に着くと,すぐにケーキの箱を開けた.
その子は,とびきりの笑顔で,ケーキをほおばった.
ほっぺたにいっぱい白い生クリームをつけている.
大きな赤いいちごを大事そうにして,食べる前に「これ,食べていいの?」と私に聞いた.
「いいんだよ,全部,あなたのだよ」というと,安心して,幸せそうに食べていた.

こんな,ケーキひとつで・・・この子は幸せになれたのか.

この子はケーキひとつを,一体何年,何十年,我慢したのだろう・・・

気付いてあげられなくて,ごめんね.
あなたの声を,心からの望みを,聞いてあげてなくて,本当にごめんね・・・

私はあなたなのに,今まで愛してあげられなくて,ごめんね・・・

幸せそうな彼女を見て,私は切なさで,胸が締め付けられた.





                                                2008.3.2 ハル




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